クリント・イーストウッド親子&ポール・ウオーカー 「いい男」の系譜 

引き続き、「父親たちの星条旗」のポール・ウォーカーについて。
 
クリント・イーストウッド監督との仕事をポール・ウォーカーがどう感じたのが知りたくて、いろいろ過去のインタビュー記事を調べてみると、ありました。映画サイト MOVIEWEBの、「ワイルド・バレット」についてのインタビューのなのですが、そのなかでポールが「父親たちの星条旗」撮影時の話をしています。

movieweb.com

 
ポール・ウォーカー演じるハンクの、ある台詞を台本に書いてあるように戦場で大声で言うのはリアルじゃないと思い、ささやくような声で言ったところ…というエピソード。
監督から小声で言った理由をきかれ、思ったことを伝えると、「いい答えだ」と言ってポールの案を採用したという内容です。その時の会話を具体的に話してくれているのですが、あのクリント・イーストウッドのしゃがれ声と、ポール・ウォーカーのソフトな低音を頭のなかであてて読むと、なんだかうっとりしてしまいます。
 
この映画のアメリカでの公開時、ポール・ウォーカーは33歳。クリント・イーストウッド監督は、御歳76歳です。
どの映画(またはテレビ番組)での体験かは分かりませんが、ポールは強権的な監督との仕事でイヤな思いをしたことがあるような発言を、インタビューのなかで度々しています。
クリント・イーストウッドについてのコメントでも、そのようなことに触れています。
 
When the guy's on top, you always kiss his ass. Even if he's a prick.  
(トップに立っているヤツには、従うしかない。たとえ嫌なヤツでもね) 
 
ミッシェル・ロドリゲスによると、ポールは気に入らないことがあればケンカも辞さないような人。威圧的だったり、神経質な態度で周りの雰囲気を悪くするような人には本当にウンザリしてしまう、という感じだったのではないでしょうか。
私の拙い訳では雰囲気がまるで出てませんが、原文のワイルドな表現をそのままを読むと、ポールの過去の体験?に対するイヤそうな気分がよく表れています。
では、クリント・イーストウッド監督はどうだったのでしょうか。
 

I always heard good things about Clint. I wanted to see what was really up. That guy is so solid. And it's cool to see, because if anybody had a right to be a prick or a pain in the ass, that guy does. He doesn't just want to be the man, he is the man. 

( クリントについては、いいことしか聞いたことがなかった。オレは、本当のところはどうなのか知りたかったんだ。あの人は、とてもちゃんとした人だよ。それって、最高だよ。だって、誰しもイヤなヤツだったり、厄介なヤツになっていい立場にいたら、そうなるよ。彼はちゃんとしようとしてるんじゃなくて、元からちゃんとしてる人なんだ)

 
ちょうど先日、クリント・イーストウッドをとりあげたドキュメンタリーを見ました。そのなかで、クリント・イーストウッドは「本当に強い男は、女性を尊敬する。そして、本当に強い女性も男性を尊敬する」というようなことを言っていました。つまりは、本当に心の強い人は、相手が誰であれ尊敬することができるということだと思います。そして、ポールがみたクリント・イーストウッドは、まさにそういう人だったのではないでしょうか。
 
クリント・イーストウッドの息子、スコット・イーストウッドは、タビドフのフレグランスのモデルを、ポール・ウォーカーから引き継いでいます。スコット・イーストウッドによると、ふたりは仲が良く、ポールは兄のような存在だったそうです。サーフィンや釣りなどの共通点があったから、ということですが、このふたりは、人としてお互いを自然に敬愛できる関係だったのではないでしょうか。
 

entertainthis.usatoday.com

スコット・イーストウッドは、実際どんな人柄かは分かりませんが、クリント・イーストウッドポール・ウォーカースコット・イーストウッド。ファンとしては、「人間として、いい男」の系譜としてのつながりを信じたいですね。
 
最後に、ポールはスコット・イーストウッドのフレグランスの広告を気にいるところ思うか?との質問に対する、スコットの答えを。
“He’d be like, ‘Dude, get your ugly face off the bottle.'”

(〝おい、そのマヌケなツラをどけろ〟って感じだろうね)