Brian O'Conner

Fast8にシャリーズ・セロンが出演⁈と、ニュースになっています。女性陣を充実させるのもいいけど、同じF・ゲイリー・グレイ監督のツテを頼るなら、個人的にはポール・ジアマッティのほうがいいなあと思いますがどうでしょう。

リュダクリスが、テズの衣装をあわせている自身の写真をInstagramアップしたりして、Fast&Furious もいよいよ先に向かって動き出している感じですね。
そんななか、いささか今さら感がありますがFurious7のラストシーンについて少しひとりごとを書いてみようと思います。
 
前にも書いたように、Furious7のラストシーンは何かしら賞に値すると思っています。
ポール・ウォーカーを失って真っ白になってしまった状態から、技術的によくあれを創り出したなというのがひとつ。
技術的なことをいえば、この方のコラムに詳しく書かれています。

舞台裏は知りたくない、純粋に物語として映画を楽しみたいという方には読まないほうがいいかもしれません。
ただ、Furious7のブライアンを作りあげたWETAという会社は、ロード・オブ・ザ・リングのCGを担当したところだったんですね。ある意味あのエンディングだってファンタジー、幻想の世界です。分野違いと驚くことでもないのかもしれません。

そう、あのエンディングは幻想の世界。私は、See You Againのミュージックビデオを見るまでワイルド・スピードシリーズの名前をきいたことはあっても、しっかり作品を見たことはありませんでした。基本的な話やキャラクターも知らず、この人がこの前亡くなった人なんだなというような気持ちでYou Tubeでビデオを見始めたのですが、ラストのエンディングシーンですっかり参ってしまいました。要は何にも知らなくても、クルマを併走させ、そして別れていくこのふたりの男たちの関係がビジュアルを通してしっかり伝わってきたのです。映像があまりに雄弁で、いざ映画本編のラストシーンを見たときにはヴィン・ディーゼルのモノローグはむしろ不要だと思ったほどでした(すみません)。

これも以前に書きましたが、あのラスト
が素晴らしいと思うのは、別れを悲しむだけではなく、むしろこれから彼が向かう先を祝福するような、そんな雰囲気のエンディングだからです。ずっと共に困難を切り抜けてきたふたりのクルマが、分かれ道で別々の方向へ。そこでカメラが追うのは主人公ではなく、舞台から去るブライアンのクルマ。走る先にはきらめく海が。本当に彼を愛していないとできなかった演出ではないかと思います。ポール自身、まとめて仕事をした後しばらく娘のために俳優活動をセーブしようとしていたようですが、あのラストでポールをブライアンにのせて愛する家族に帰してあげたい、そういった意図もあったのではないでしょうか。

さらにポール・ウォーカーが亡くなったのは撮影の合間のサンクス・ギビングの休暇中とのこと。また休暇明けにな、とキャストやスタッフと別れたあとの事故だったのでしょう。そう考えてあのラストを見ていると、以前読んだ本のなかであったフレーズを思い出します。
「誰かに、◯◯は死んだよと言われる。そんな別れは嫌なんだ。ちゃんと別れを言いたかった」
確かそのようなニュアンスだったと記憶していますが、あのラストからはそんな悲しい祈りのようなものを感じます。「さよならも言わずに行くつもりか?」あの台詞はブライアン、そしてポールへの、皆の心からの言葉に思えます。

いろんな思いが込められたであろう、Furious7のラストシーン。大きな賞に値すると思いつつも、ではどんな部門の賞かといわれると悩むところでした。でも、どこかの映画情報サイトで、ブライアン・オコナーのキャストにポール・ウォーカーだけでなく、ポールの弟やその他ボディ・ダブルを演じた俳優の名前が書いてあったのをみてハッとしました。Furious7のブライアンは、もはや一個人が演じている役ではなく皆の思いを託されて創り上げられたキャラクターになったんですね。
こうして皆の思いを託されたBrian O'Connerに、Best Performance賞を!