オスカーなんて。

去年の秋から年末にかけてなにかと忙しく、なかなか記事もかけずにいました。11月30日もやはり何も書けなかったのですが、追悼の思いをこめて、You Tubeで『See You Again』をクリックしました。

 

記事は書けなくても、ニュースはチェックしています。次回作にヘレン・ミレンの出演は確定、マット・デイモンも?とか(そうなったら、完全に彼の映画になってしまう!)、ポールの弟がブライアンの弟役で出る?とか、キューバで撮影するらしい、とか。次回作についての最新ニュースが日々更新されていくのは、やっぱり世間の注目度が高い証拠ですよね。そんななか、ゴールデン・グローブ賞グラミー賞のノミネートが発表され、『See You Again』が見事、名を連ねていたこともニュースになっていました。とはいえ、映画作品としてゴールデン・グローブ賞にはノミネートはされておらず、Carhie Puthが「もし受賞したら、ヴィン・ディーゼルと一緒に壇上にあがる」と気遣いをみせていました。

Variety紙のインタビューで、ヴィン・ディーゼル『スカイ・ミッション』はオスカーにふさわしい、というようなことを言って、批評家や記者の失笑をかっているようです。私もまあ作品賞など主要カテゴリーのノミネートは難しいだろうと思います。ただミッシェル・ロドリゲスが同じくVarietyのインタビューで言っていたことを読むと、ヴィン・ディーゼルにとって『スカイ・ミッション』は、誰がなんと言おうとオスカー受賞に値するものだったんだなと感じます。

 

ポール・ウォーカーを失ったヴィン・ディーゼルについて。ミッシェル・ロドリゲスがこう言っています。

It’s like losing a limb. I can’t explain it any other way. It was hard. I could see it.

 I think the only time Vin was able to show his true emotions about everything that happened was when the movie was finally cut and they showed it to us. That was the first time Vin breathed and let go. 

(片方の肺を失ったようなものよ。それしか言いようがない。とてもつらかったんだと思う)

(起こってしまった全てのことに対してヴィンが本当の感情を出せたのは、やっと完成した『スカイ・ミッション』を、私たちに見せたときだと思う。そのとき、初めて彼は息をつけたの)

 

variety.com

 

映画は記録的な興行収入を樹立した。『See You Again』は一億回以上世界中で再生された。

いいじゃないですか、ヴィン。オスカーなんて放っておこう。

世界中のたくさんの人たちが、この映画に興奮して、そして泣いたんだから。

 

追記:

この記事を書いた後に、『Furious7』がPeople's Choice Awardsで、Favorite Action MovieとFavorite Movieを受賞しました。ヴィン・ディーゼルが受賞スピーチで、投票した一般の人たちを「real people」と呼んで感謝していましたが、彼の気持ちが伝わってくるようでしたね。

 

ポール・ウォーカー 『ノエル』

クリスマスといえば、ポール・ウォーカーペネロペ・クルスと共演した『ノエル』ですが、物語のまだ冒頭あたりで出てきた俳優の姿をみて、もう胸が詰まりました。
ロビン・ウィリアムズ。奇しくもポールが亡くなった翌年の夏に、自殺でこの世を去った人です。ノンクレジットなので、実際に作品を見るまで出ていると知りませんでした。

クリスマス・シーズンにほっこり観るにはぴったりの映画です。『ワイルド・バレット』での極悪警官役が撮ったとは信じられない、優しい物語ですが、まさか出演した俳優がふたり、時期を同じくして亡くなるとは。

優しいけど嫉妬深いという、意外に珍しい役どころを、ポールが輝くように演じています。そのポール・ウォーカーロビン・ウィリアムズも、今では本当に天使になってしまいました。このふたりを思うすべての人たちの心に少しでも安らぎが訪れる、そんな日でありますように。

ポール・ウォーカー@『テイカーズ』

ワイルド・スピード』以外のポール・の出演作のなかで、映画としての掘り出しものは『ワイルド・バレット』と『ハリケーン・アワー』でしたが、ポールかっこいい!という意味での掘り出しものは『テイカーズ』です。
 
髪をストイックに短く刈り込んでいることの多いポールですが、この時は少し伸ばしたブロンドが黒いスーツに映える!意図して封印してきたようなところのある、隙のない男前な役どころが、スタイリッシュな作品の作りにマッチして本当にかっこいい。現金輸送車強奪のシーンで、ライフルを構えて狙いを定め、片目を閉じるポールのアップがあまりに素敵で、心拍数が上がりました(笑)。引き締まった表情のなかの青い目が、本当に高価な石のようなんですよね。
 
 この映画は、アメリカでは興行成績1位を獲得したそうですが、日本ではどうだったのでしょう。ポール・ウォーカーマット・ディロン、あとクリス・ブラウン以外はあまり知られていない俳優が多いので、それほど話題にならなかったのではと思います。当のアメリカでも、批評家たちにはあまり評価されていないようですね。
まあ確かに、何かを深く追及しているような内容でもないし、脚本家(監督だったかな?)も、若いキャラクターバージョンの『ヒート』を作りたかったから、と言っているくらいですから、物語に特に目新しさがあるというわけでもないかもしれません。
それでも、私は個人的に結構楽しめました。仮に私がポール・ウォーカーのファンではなかったとしても、それなりに面白くみれたと思います。まあ、もしかするとこれでポールのファンになっていたかもしれませんが。
 
完成度の高い緻密な強盗を繰り返している犯罪集団と、何とかそのグループにたどり着こうとする警官の物語。ありがちな犯罪映画のようですが、実は警官vs犯罪者の対決がメイン・イベントではないこの作品。仲間をほとんど失っても「予定通り」と気だるそうに言うリーダー、結局何も手にできない警官、ファーストカットに回帰するかのようなラストカット。こんなものなのさ、という感じの少し醒めた雰囲気が漂う作品だったのが意外でした。
 
さてポール・ウォーカーは、どんな考えで、この映画に出演したのでしょうか。『テイカーズ』についてのポールのインタビューについては、次回!

ワイルド・スピード8の監督決定⁈

ワイルド・スピード』の次回作の監督として、『交渉人』や『ミニミニ大作戦』を手がけたF・ゲイリー・グレイに決まりそうだとニュースになっています。

 

ジャスティン・リンがダメになり、大金を積んだもののジェームズ・ワンにも断られ、ヴィン・ディーゼルが初代監督のロブ・コーエンを推したり、ついにはヴィン・ディーゼル本人が監督を?というような記事までネットにあがったりして、それだけはやめて!と、ハラハラしながら状況を見守っていたのですが、なかなか良いところに落ち着いたようでホッとしました。
 
グレイ監督の最新作はヒップポップグループのN.W.A.を扱った映画で、日本では公開されていませんがアメリカでは大ヒットしたようです。アクションだけではなくドラマもしっかり扱える監督というのがいいですね。次の舞台だろうといわれているニューヨークの出身だし、以前ヴィン・ディーゼルと仕事をしたこともあるそうなので、何かと安心できそうです。
 
ブライアンの思いがけない引退で、お祭りのような日々がいったん幕を閉じたような『ワイルド・スピード』ですが、レティの記憶も戻ったし、このあと本当に3部作が続くなら、強くて新しいストーリーが必要ですよね。
グレイ監督には、時に「ソープオペラ」といわれてしまうクリス・モーガンの脚本にガシガシ赤鉛筆で修正を入れてもらって、派手なアクションだけでなく見応えのあるドラマを作りあげてほしいなと思います。
そしてやっぱり、どこかでさらっとブライアンの名前を出してほしい。もういないと分かっていても、誰かが口にする「Brian」の一言を期待して、劇場に向かってしまいそうです。

「ワイルド・スピード」が失ったもの

ワイルド・スピード」次回作のプロジェクトが難航している、とニュースになっています。2017年の公開を宣言したものの、監督がいまだに決まっていないということらしいです。

 

ワン監督が「ワイルド・スピード」の8作目を断った理由として、「Hollywood Reporter」は、もともと決まっていた「死霊館」の続編とスケジュールがかぶるということを一番の理由としながらも、2年に及ぶ「スカイミッション」の制作で監督が体調を崩したから、ポール・ウォーカーの事故がトラウマになったから、はたまたヴィン・ディーゼルが細かく口を出すのがやりにくかったから、というようなことも原因か?というように記事は書かれています。

'Furious 8' Stuck at the Starting Line: Universal's Director Dilemma - Hollywood Reporter

 

スカイミッション」の上映に立ち会うとき、エンドクレジット前につらくて必ず席を立ってしまうというジェームズ・ワン監督。「人生を変えるような」金額を積まれても、「ワイルド・スピード」の8作目を断ったということですから、まあ「Hollywood Reporter」のいう、ワン監督が断った原因の内容は少しずつ本当なんでしょう。とにかくジェームズ・ワンの次回作監督の可能性はなくなったんですね。残念です。

ジャスティン・リンが7作目を監督しないということで、出演をかなり迷っていたポールが一転して積極的に関わっていこうと決心したのは、電話で話したときに,

ジェームズ・ワン監督が本当にいいヤツだと感じたのがきっかけだったというようなことを度々インタビューで語っています。

collider.com

 I’m really, really impressed with James, as a person.

ジェームズには、本当に、本当にひとりの人間として感動させられるよ。

 

 I like his angle and composition, and the way he looks at things.  He’s a talented guy.  We’ll see what happens.  He deserves a victory, I’ll tell you that. 

彼の、ものの見方やとらえかたが好きなんだ。才能があるヤツだよ。
まあ見ててよ。彼は勝利にふさわしい。保証する。
 
そして、こうも言っています。
 
I couldn’t do what he’s doing right now.  I’ve been around it a long time, and I couldn’t do it.  I police personalities and make sure things are harmonies.  That’s what I do.  I just want there to be good energy, all the time, and I think that works well with a director like James.
 
彼が今やっていることは、オレにはできない。(ワイルド・スピードのシリーズを)長くやってるけど、オレにはできないね。みんなの人となりをみながら、物事がうまくいくようにする。それが、オレのしていることなんだ。いつもいい雰囲気であってほしい、それだけだけなんだけど、ジェームズのようなディレクターにはそれがうまく作用していると思う。
 
オリジナルの主人公でありながら、スタジオの政治的な問題に振り回されて一度は作品を離れ、ガラリと変わったシリーズにまた戻ってきた。そんな関わりかたの中で、自分なりの役割を設定し、実行してきたポール・ウォーカー
出演を渋っていた俳優の心を動かし、逆に作品の出来上がりを楽しみにさせてしまう、
そんな人柄と情熱と、才能のあるジェームズ・ワン監督。
 
ワイルド・スピード」が失ってしまったものは、本当に大きかったなと思ってしまうのです。

 

事故のなぜ?に答えてほしい

ポール・ウォーカーのひとり娘、Meadow Walkerさんが、ポルシェを相手に訴訟を起こしたことがニュースになっていました。

訴えの内容は、事故の際に乗っていたポルシェ 2005 Carrera GTのシートベルトと燃料ラインの欠陥設計が、ポール・ウォーカーに致命的なダメージを与えたということのようです。
 
 
先日も、ポールの誕生日に父親にちなんだ基金を立ち上げたことがニュースになっていましたが、16歳の、まだ「女の子」と呼ばれてもいい子が「戦ってるな」という印象でした。彼女が今立ち向かっているのが何であれ、何らかの形で打ち勝ち、ひとりの女性として幸せな人生を送るといいなと、私も子を持つ親として願ってしまいます。
 
そしてファンとして、この訴えが妥当なものであること、インタビューで幾度も自分の限界をわきまえて冒険している、と言っていたポール・ウォーカーとプロのレーサーの事故に対して、皆が思う「なぜ?」になにかしら答えを出してくれることを、心から願います。
 
 

次回は「速い」?ワイルド・スピード8

先日、ミッシェル・ロドリゲスが、次回の「ワイルド・スピード」は、ポール・ウォーカーの願いをかなえるものになるだろうと言っている、とニュースになっていました。

「ポールはカーレースという基本に戻りたがっていて、特殊効果やブルースクリーンにいつも不満だった」ということです。

 

www.people.com

 

生前のポールのインタビューをいろいろ読んでみると、シリーズの5、6あたりから、いかにクルマの映画ではなくなっていっているか、ということをたびたび話しています。

ワイルド・スピード」を原点に戻すという案は、ポールが亡くなったからなのか、「スカイミッション」(と、それに続く新シリーズ)が始動したときにあったものなのかは分かりません。いずれにしても、やっぱりポール・ウォーカーが生きていたときに、そうしてあげてほしかった。

 ポール・ウォーカーのドライビング技術があってこその「ワイルド・スピード」。カメラの前でピタッとクルマを止める、そんなことができる俳優、ポール・ウォーカーがいたからこその「Fast & Furious」だったのですから。

 

アンジェリーナ・ジョリーが出演するかもというニュースもあり、次回作について、いろいろ情報は今から錯綜しているようです。早さを競う、ということにもはやこだわらなかった「Furious7」、次回のタイトルは「Fast8」になったりするのでしょうか。